新型コロナの感染を予防する
正しい方法とは

新型コロナウイルスとその感染経路、
感染を予防するためにはどのようにしたらよいの?
という視点でお伝えしていきます。


新型コロナウイルスとは?

元々一般的な風邪の原因ウイルスのひとつで、ヒトに感染し、一般の風邪の原因となるウイルス4種類と、重症急性呼吸器症候群(SARS) ウイルス、2012年に世間を騒がせた中東呼吸器症候群(MERS)ウイルスの2種が知られていました。今回の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルスに近縁のウイルスです。

ウイルスにはいくつか種類があり、コロナウイルスは遺伝情報としてRNAをもつRNAウイルスの一つで、エンベロープという二重の脂肪でできた膜を外側にもっています。自分自身で増えることはできませんが、粘膜などの細胞にくっついて入り込んで増えることができます。

ウイルスは粘膜に入り込むことはできますが、健康な皮膚には入り込むことができず表面にくっつくだけと言われています。物の表面についたウイルスは時間とともにこわれてしまいます。ただし、物によっては24時間~72時間くらい感染力をもつと言われています。

手洗いは、たとえ流水だけでもウイルスを流すことができるため有効ですし、石けんを使った手洗いはウイルスの膜をこわすことができるのでさらに有効です。手洗いの際は、親指や指先、指の間などは手洗いが不十分になりやすいといわれていますので、これらの部位は特に注意して洗いましょう。また、流水と石けんでの手洗いができない時は、手指消毒用アルコールも同様に脂肪の膜をこわすことによって感染力を失わせることができます。


コロナウイルスの感染経路

コロナウイルスは一般的には飛沫感染、接触感染で感染します。閉鎖された空間で、多くの人と近くでお話するときには、咳やくしゃみなどの症状がなくても感染が拡がるリスクがあると言われています。

飛沫感染とは感染者の咳やくしゃみ、つばなどに含まれたウイルスが放出され、他の人がそのウイルスを口や鼻などから吸い込んで感染することを言います。

接触感染とは感染者から放出されたウイルスが物などに付着し、それを触た手から口や鼻を介して感染することを言います。例えば感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後、その手で周りの物に触れるとウイルスがつきます。他の人がそれを触るとウイルスが手にくっついてしまい、その手で口や鼻を触ることにより粘膜から感染する可能性があります。WHOは、新型コロナウイルスは、プラスチックの表面では最大72時間、ボール紙では最大24時間生存するなどとしています。

飛沫感染 感染者の咳・くしゃみ・つばなどに含まれたウイルスを口や鼻などから吸い込んで感染 接触感染 感染者が触れた物に付着したウイルスを触り、その手で口や鼻を触ることにより粘膜から感染

発症前から感染力を持つので注意

一般的に、肺炎などを起こすウイルス感染症の場合は、症状が最も強く現れる時期に、他者へウイルスを感染させる可能性も最も高くなると考えられています。

しかし、新型コロナウイルスでは、発症の2日前から発症後7~10日間程度他の人に感染させる可能性があるとされています。特に、発症の直前・直後でウイルス排出量が多くなるため、症状はないが検査が陽性だった人からも、感染する可能性があります。
新型コロナウイルスに感染した方が、他の人に感染させる事例は、全体の2割以下と考えられますが、マスク無しの会話や3密(密閉・密集・密接)が感染拡大リスクとなっています。

体調が悪いときは不要・不急の外出を控えることや、人と接するときにはマスクを着用すること、大人数で集まらないことなど、新型コロナウイルスに感染していた場合に多くの人に感染させることのないように行動することが大切です。


新型コロナウイルス感染症を予防する正しい方法とは?

感染を予防するためには、基本的な感染予防の実施や不要不急の外出の自粛、「3つの密」を避けること等が重要です。

「3つの密」を避ける

これまでに国内で感染が確認された方のうち重症・軽症に関わらず約80%の方は、他の人に感染させていない一方で、一定の条件を満たす場所において、一人の感染者が複数人に感染させた事例が報告されています。集団感染が生じた場の共通点を踏まえると、特に、密閉空間・密集場所・密接場所という3つの条件のある場では、感染を拡大させるリスクが高いと考えられています。

密閉空間 換気の悪い密閉空間である 密集場所 多くの人が密集している 密接場面 互いに手を伸ばしたら届く距離での会話や共同行為が行われる

人混み・近距離での会話・大きな声を避ける

また、これ以外でも、人混みや近い距離での会話、特に大きな声を出すことや歌うことにはリスクが存在すると考えられています。激しい呼気や大きな声を伴う運動についても感染リスクがある可能性が指摘されています。多くの場合、ライブハウス、スポーツジム、医療機関、さらに最近になって繁華街の接待を伴う飲食店等におけるクラスターでの感染拡大が指摘されています。

無症状の感染者からの感染の可能性

新型コロナウイルス感染症は、一般的な状況における感染経路の中心は飛沫感染及び接触感染ですが、閉鎖空間において近距離で多くの人と会話する等の一定の環境下であれば、咳やくしゃみ等の症状がなくても感染を拡大させるリスクがあるとされています。また、無症状の者からの感染の可能性も指摘されており、油断は禁物です。

Social Distancing — 社会的距離の徹底

人と人との距離をとること(Social distancing; 社会的距離)、外出時はマスクを着用する、家の中でも咳エチケットを心がける、さらに家やオフィスの換気を十分にする、十分な睡眠などで自分の健康管理をしっかりすることで、自分だけでなく、他人に感染させないように徹底することが必要です。

これらの状況を踏まえ、「3つの密」の回避、マスクの着用、石けんによる手洗いや手指消毒用アルコールによる消毒の励行などをお願いします。


エアロゾル感染について

新型コロナウイルス感染症においてエアロゾル感染というキーワードが盛んに言われるようになりました。しかしながらこれまでエアロゾル感染というのは明確な定義はなされていません。SARS-CoV-2ウイルスは密閉された空間において短い距離でのエアロゾル感染をほのめかす報告がありますが流行への影響ははっきりとわかっていません。

病院の患者病室などの空間から培養可能なウイルスが見つかったという報告がある一方、空気感染の予防策なしに診療を行った医療従事者への二次感染(感染者から他の人への感染)がなかったとする報告もあります。また再生産数(1人の患者が何人に感染を広げる可能性があるか)が2.5程度と麻疹など他のエアロゾル感染する病気と比較して低いことなどから、現在の流行における主な感染経路であるとは考えられていません。医療機関では少なくともエアロゾルを発生する処置が行われる場合には空気予防策が推奨されています。


まとめ

さて今回は、新型コロナウイルス感染症について、感染経路や予防策について御話しました。少し難しく感じるかもしれませんが、「3つの密」を避けて、マスクを着用し、石けんによる手洗いや手指消毒用アルコールによる消毒をしっかり行うことからはじめましょう。


参考文献
厚労省ホームページ
新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
新型コロナウイルス感染症診療の手引き第4.2版 000742297.pdf (mhlw.go.jp)
[3つの密を避けるための手引き]https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000622211.pdf
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