除菌とは?
抗菌、殺菌との違いを解説

新型コロナをきっかけに、意識して除菌グッズを購入している人も多いのではないでしょうか?
普段何気なく使われている「除菌」という言葉ですが、スーパーやドラッグストアで「抗菌」グッズを見かけたり、
テレビのCMで「殺菌」という言葉を耳にしたことのある人もいるでしょう。
「除菌」「抗菌」「殺菌」の違いが分かると、目的に沿った製品を購入したり使用したりするのに役立ちます。
この記事では、殺菌・除菌・抗菌の意味の違いについて解説します。


抗菌・除菌・殺菌の違いとは

同じのようなイメージのある「殺菌」「抗菌」「除菌」の3つの言葉。日常生活の中でよく見かける言葉ですが、同じ意味ではなく、
それぞれ異なる意味で使われています。ここでは、殺菌・除菌・抗菌の意味について具体的にみていきます。

抗菌 ー 微生物の増殖を抑えること

抗菌は、微生物の繁殖を抑えることを意味します。微生物を殺したり、数を少なくしたりするのではなく、あくまで繁殖の防止効果にとどまります。また、抗菌の対象となる微生物の種類や効果の程度は含まれません。

ただ、日常生活において「抗菌」という表現は、細菌のみを対象としていることがほとんどです。例として、国内の抗菌を謳う製品は、細菌に対する効果があっても、菌類であるカビに対する効果はありません。具体的な抗菌製品には、台所用のスポンジや靴下などがあります。除菌の方法としては洗浄やろ過などさまざまな方法があります。近年は、除菌についてアピールするさまざまな製品がみられますが、微生物に対して特別な作用があるイメージを持つ人も多いでしょう。実は普通のタオルでも机を拭けば、物理的に微生物の数が減るため、除菌効果を謳うことができます。(感染源)の排除と宿主の抵抗力の向上も感染対策になります。

除菌 ー 微生物を取り除くこと

除菌は特定の場所や空間から微生物を除去したり、少なくしたりして衛生度を高めることをいいます。学術的な専門用語ではないため、分野ごとに定義がやや異なる特徴があります。

除菌の方法としては洗浄やろ過などさまざまな方法があります。近年は、除菌についてアピールするさまざまな製品がみられますが、微生物に対して特別な作用があるイメージを持つ人も多いでしょう。実は普通のタオルでも机を拭けば、物理的に微生物の数が減るため、除菌効果を謳うことができます。

日常生活では、「殺菌」効果を謳えない医薬品や医薬部外品以外の雑貨に、「除菌」という表現が使われています。具体例としては、アルコールスプレーや、洗剤、クロスなどの製品があります。

殺菌 ー 菌などの微生物を殺すこと

殺菌は文字通り、「微生物を殺す」ことを意味します。微生物は肉眼では見えないすべての生物を指す言葉で、アメーバのような小さい生物だけでなく、ウイルス、細菌、酵母菌やカビなどの菌類も含まれます。

殺菌はすべての微生物の完全な死滅を意味するものではなく、一部の菌を殺すことも殺菌ということが可能です。日常生活では、薬機法における「医薬品」や「医薬部外品」のみに「殺菌」が使われており、例として、殺菌を謳う医薬品には消毒剤、医薬部外品には薬用石けんやコンタクトレンズ装着液などがあります。

一方で、漂白剤や洗剤などの「雑貨品」には殺菌という表現は使うことができません。

殺菌は、死滅させる菌の種類や死なせる量に明確な定義はなく、例えば80%の菌が残っていても20%の菌が殺せていれば「殺菌」と謳うことができます。また前述の通り、医薬品と医薬部外品のみに使用できる言葉であり、例えば食器用洗剤などは殺菌効果があったとしても「殺菌」という表現を使うことはできません。

また、殺菌にはさらに細かい種類があり、「消毒」と「滅菌」の2つがあります。ここでは滅菌と消毒の違いについてみていきます。

消毒 ー 病気の元となる微生物を害のないレベルまで無毒化すること

消毒は、病気の元となる微生物を死滅あるいは除去して、害のないくらいに数を減らしたり、微生物の毒性を抑えたりすることをいいます。殺菌と似ていますが、消毒の目的はあくまで「無毒化」であり、細菌を殺していなくても、病害のない程度まで減らしたり、あるいは感染力を失わせるなどして、毒性を無力化させること、を意味するため滅菌や殺菌と使い分けがされています。

「消毒」という言葉も殺菌と同様に、薬事法上の言葉で、「医薬品」や「医薬部外品」のみに使用できます。市販の消毒薬のように、薬物消毒だけでなく、煮沸消毒や日光消毒、紫外線消毒、焼却消毒などの方法もあります。

滅菌 ー ほぼ完全に微生物を死滅させること

滅菌という言葉は薬事法の対象となる消毒薬などの医薬品と、薬用せっけんなどの医薬部外品のみに使用できる表現なので、例えば食器用洗剤には菌などの微生物を完全に殺滅することをいいます。日本薬局方では、すべての微生物の生存確率が100万分の1以下になる状態を滅菌の定義としています。

滅菌は細胞の死滅も含まれるため、生物に対して使われる表現ではなく、主に器具に対して使われる言葉です。滅菌という言葉がよく使われるのが、病院などの医療現場です。例えば、メスなど病院で使い回す一部の医療器具は、感染予防のために高圧蒸気などで処理をして、しっかり滅菌がされています。

抗菌・除菌・殺菌の正しい意味を理解しよう

毎日の生活の中でよく見かける「殺菌」「除菌」「抗菌」にはそれぞれ異なる意味があります。また、「滅菌」を除く表現では、すべての微生物ではなく、一部の微生物に効果があれば使用が可能です。

殺菌・除菌・抗菌は混同しやすい言葉ですが、正しい意味を知ることで、よりニーズに沿った製品選びをすることができます。一部の細菌の増殖を抑える効果があれば「抗菌」としたり、洗浄など物理的に微生物を取り除けるものであれば「除菌」と謳うことができたりするので、製品購入時に、広告に惑わされずにすむでしょう。反対に、医薬品や医薬部外品ではないのに、「殺菌」と謳っているものは、過剰広告といえます。

ウイルスや菌への対策をしたい方は、何をもって「殺菌」「除菌」「抗菌」という表現を考えながら、製品の購入をしてみてください。


参考文献
https://www.ims.tsukuba.ac.jp/~suzuki_lab/20181204_Environment09.pdf
https://www.hosp.med.osaka-u.ac.jp/home/hp-infect/file/manual/d-1.pdf
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